お知らせ INFORMATION
道路工事で舗装材料の締固め度管理とアスファルト系材料の温度管理を高度化
~国土交通省PRISM2021に採択され、システムを実証~
2022-06-10
リリース
大成ロテック株式会社
大成ロテック株式会社(代表取締役社長:西田義則)は、東北地方整備局発注の玉川野田地区舗装工事にて、道路工事における舗装材料の締固め度管理とアスファルト系材料の温度管理を高度化する技術の実証を行いました。なお、本件は、国土交通省から公募された令和3年度「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用の関するプロジェクト(PRISM)」として令和2年度から継続して採択された事業により実施しています。
従来の道路工事における舗装材料の締固め度管理およびアスファルト系材料の温度管理は、施工範囲内で一定数量毎の抜き取りを行って人力によりデータを計測し、表作成ソフト等で収集データを帳票化することが一般的であり、計測や集計に労力と時間を要することや、施工範囲全体の状況確認が困難などの課題がありました。
今回の取り組みでは、施工範囲内で自動計測した舗装材料の締固め度とアスファルト系材料温度の計測データおよびそれらから作成した帳票を、クラウドサーバを介して工事関係者間で共有することによる品質管理システムの高度化を図りました。なお、一部の区間では、自動計測する建設機械を自動走行する自動化施工の実証も行いました。
本技術の適用により、舗装材料の締固め度とアスファルト系材料の温度を自動で定量的に把握することができ、供用後に発生するトラブル等の削減や維持管理計画の効率化などが期待されます。
本事業における実証概要および結果は以下のとおりです。(図1参照)
【実証概要】
(1)舗装材料締固め度の自動計測
振動ローラに転輪型RI計器「T-iCompaction®」※1を搭載し、締固め度を連続自動計測しました。今回は、路盤と表層の延べ約22,000㎡で計測し、面的な品質把握が可能であることを確認しました。
(2)アスファルト材料温度の自動計測
アスファルトフィニッシャーおよびタイヤローラに非接触温度計「Pave-IR」※2を搭載し、表層温度を連続自動計測しました。今回は、基層・表層で延べ36,000点の計測を実施し、これも面的な品質把握が可能であることを確認しました。
(3)測定データの共有
上記測定データは即時に公衆回線網による通信でランドログプラットフォーム※3上へアップロードし、品質管理用の様式に自動的に帳票化できることを確認しました。
(4)自動化施工を実証
道路線形の設計に使用するLandXML※4データをT-iROBO® Roller※5にインストールして、曲線を含む道路線形に追従した自動走行よる転圧作業と締固め度計測を約2,300㎡の路盤工で実施しました。T-iROBO Rollerには、人体検知AI「T-iFinder®」※6の車載カメラ画像による緊急停止等の多重的な安全対策機能を実装しており、現在ルール化されていない実現場における建設機械の自動走行について、各機関と協議も行いました。
なお、今回の取り組みは、大成ロテック株式会社をコンソーシアムの代表とし、大成建設株式会社(代表取締役社長:相川善郎)、ソイルアンドロックエンジニアリング株式会社(代表取締役:後藤政昭)、日本ゼム株式会社(代表取締役社長:井上晋輔)、株式会社EARTHBRAIN(代表取締役社長:小野寺昭則)の5社にて取り組んだものです。
今後、5社は、本技術を大成建設グループが開発する独自のCIM※7システム「T-CIM®」の要素技術と位置付け、既開発のT-CIM/ConcreteやT-CIM/Asphalt等との連携を図ることで、各種データを活用した高度な施工管理の展開を目指してまいります。

図1 本事業における実証概要
※1 T-iCompaction: 大成建設㈱、大成ロテック㈱、ソイルアンドロックエンジニアリング㈱が共同で開発した転輪移動型のRI(放射性同位体Radio Isotope)計器による、非破壊締固め度計測システム。
※2 Pave-IR: 日本ゼム㈱の非接触合材温度計測システム
※3 ランドログプラットフォーム:㈱EARTHBRAINが提供する建設業界向けIoTオープンプラットフォームサービス。(NETIS登録番号QS-210052-A)
※4 LandXML: 道路線形情報等の国土地理情報のマークアップ言語
※5 T-iROBO Roller: 大成建設㈱、大成ロテック㈱が共同で開発した自動走行型の振動ローラ
※6 T-iFinder: 大成建設㈱が開発した、車載カメラ画像のAI解析による人体検知システム
※7 CIM: Construction information Modelingは、2012年に国土交通省が建設事業全体の生産性向上を目指して提唱した情報システム。CIMは、各工事の3次元モデルに関連する属性情報を紐付けたCIMデータで構築され、建設事業フローの川上である調査計画、設計積算段階から川下である施工、維持管理段階まで、コンピュータやネットワーク上で一元的に管理しながら情報共有を図り、合意形成や設計、施工の高度化、維持管理の効率化を目指す。