お知らせ INFORMATION
大成建設グループの新たな研究施設を開設
-「舗装評価路」完成および「自然共生型管理棟」・「ネイチャーポジティブ実証フィールド」の整備を開始-
2025-02-05
リリース
大成建設株式会社
大成ロテック株式会社
大成建設株式会社(社長:相川善郎)と大成ロテック株式会社(社長:加賀田健司)は、次世代舗装技術の開発とともに自然共生・再生などの環境課題の解決に資する取り組みを実証・評価する大成建設グループの新たな研究施設(福島県田村市)を開設しました。2024年12月に「舗装評価路」(福島県田村市)を完成させ、今後「自然共生型管理棟」、「ネイチャーポジティブ実証フィールド」を順次整備していきます。また、今回の研究施設の開設は、ライフサイクルにおけるカーボン・ネガティブ実現を目指す研究管理棟を有する大成建設グループ次世代技術研究所※1(埼玉県幸手市)の建設プロジェクトに続く取り組みとなります。
本施設は、新たに開発する次世代道路舗装技術の実証・評価を行う国内民間企業初となる「舗装評価路」を主体に、施設全体の管理・運営を担う「自然共生型管理棟」と舗装評価路の内側と外周部の造成地に整備する「ネイチャーポジティブ※2実証フィールド」で構成され、次世代舗装技術の開発と環境に関わる様々な課題の解決に向けてそれぞれが独自の取り組みを展開します。なお「舗装評価路」は、大成ロテック株式会社が福島県田村市と締結した企業立地に関する基本協定※3に基づき整備するものです。
各施設の特長と具体的な取り組み内容は以下の通りです。
舗装評価路
本施設は、舗装の耐久性を短期間で評価することができる国内民間企業初の施設です。1周909mの舗装評価路を5台の自動運転荷重車両を昼夜問わず走行させ、耐久性の評価に要する時間を大幅に短縮することができます。また、新たな舗装用材料や構造の耐久性を評価するほか、理論設計方法の検証や舗装材料の力学試験結果などから舗装の耐久性を予測する手法の確立に向けた実証実験などを行います。道路舗装の耐久性向上により、舗装の建設から維持管理までのライフサイクルでのCO2排出量削減が期待されています。
自然共生型管理棟
施設全体の管理・運営を行う自然共生型管理棟は、水資源や水環境の持続的な活用を可能にする「ゼロウォータービル」として整備し、2026年度の供用開始を予定しています。本施設での「ゼロウォータービル」の実証成果を活かし、将来、上下水インフラ設備の乏しい地域に「ゼロウォータービル」を広く普及させることを目指します。また、木造2階建ての建物には、地域の森林資源の持続的利用に貢献する地産製材を積極的に活用するとともに、建物の主要構造部材には汎用性の高い一般流通材を使用した大スパン構造を採用し、木架構汎用化技術の実証を行います。
ネイチャーポジティブ実証フィールド
舗装評価路の内側と外周部の造成地には、生物多様性を育む緑地環境として「ネイチャーポジティブ実証フィールド」を配置し、自然再生の長期実証を開始します。舗装評価路内側には近年国内で激減している半自然草原※4を創出し、希少な生態系である半自然草原と湿地の管理方法の確立を目指します、緑化に用いる植物は、遺伝的な攪乱を避けるため、すべて田村市周辺から種子採取し植栽を行います。また、舗装評価路外周部では、地域の種苗を用い樹木の特性に配慮しながら質の高い自然の森の早期創出を目指します。実証フィールドでの取り組みの成果を蓄積し、ここで得た知見を活かしながら将来様々なネイチャーポジティブ関連技術を提供していくことを目指します。
今後、大成建設および大成ロテックは、本施設を多面的に活用することで、次世代舗装技術の開発や環境に関する様々な課題の解決などに取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
大成建設グループ新研究施設
施設概要
所在地: 福島県田村市常葉町山根字宇藤1-9
敷地面積: 約14.4ha
施設名 | 目的・用途・仕様 |
舗装評価路 |
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トラックヤード |
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給油施設 |
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自動運転荷重車両 |
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自然共生型管理棟 |
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※1 大成建設グループ次世代技術研究所:
大成建設グループ次世代技術研究所に「ゼロカーボンビル」の建設を開始(https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2023/231106_9810.html)
※2 ネイチャーポジティブ:
環境省では生物多様性国家戦略2023-2030における2050年ビジョン「自然と共生する社会」の達成に向けた2030年ミッションとして掲げられ、「ネイチャーポジティブ(自然再興)とは、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」ことと定義
※3 企業立地に関する基本協定:
福島県田村市と大成ロテック株式会社が令和5年3月31日に(仮称)田村市東部産業団地(常葉町)への立地に向けて企業立地に関する相互協力と円滑な推進を図る目的で締結した協定。
※4 半自然草原:
自然草原が人の手が入らずに自然状態で成立しているのに対し、半自然草原は継続的に人の手が入り、植生の遷移が進まなくなった状態が継続している草原のこと。
※5 LV4(レベル4)相当の自動運転:
「レベル4」とはJASO TP 18004に高度運転自動化として「全ての動的運転タスク及び作動が困難な場合への応答を限定領域(ODD)において持続的に実行」と定義されているもの。
2025年1月よりLV2(アクセルやブレーキ操作を自動で行い、前走車を追従して走行する「アダプティブクルーズコントロール」にも対応し、ハンドルから手を離す「ハンズオフ」状態での走行が可能な状況)での走行実験を開始し、順次レベルを上げ、2025年8月よりLV4相当での走行を開始予定。